まず第一に挙げられるのは「石橋」さんでしょうか。
「文字ができたから、来ませんか?」という電話をいただき、早々に伺いました。
文字、文字、文字。どういうことなのか。全然見当がつかなかったのです。
太巻きの中に「文字を巻きこむ」とは、どのようなことなのだろうか???
それはそれは、不思議でした。
会場に到着し、いつものように割烹着に着替え、土肥さんの案内で名人の方へ向かいます。
そこでは石橋さんが一生懸命に巻いていました。
「こっちへ来ていっしょに見たいよ」
お誘いに図々しく乗って、すぐそばに座り込み正面から拝見。
専ら熟視するのみでしたが、当時の私の技術ではチンプンカンプンでした。
当たり前のことですよね。
この地域の方言
いらっしゃい = 来たいよう
やりましょう = やったいよう
その後「寿」、「祝」、「志」と続きやっと理解できたのは、「田舎の交際用にと考えた文字だったのだ」ということです。これらが契機となって、いろいろな催事用の文字を自由に巻きこむことができるようになったのです。つまり人生の節目の行事に、心を込めて「熨斗袋」の代わりに、得意の太巻きずしを送り敬意を表すのです。とても理にかなったことです。
以来、わたくしたちの間では、ことあるごとに催事の名称を文字で表し祝意を伝える努力をしてきました。「祝、食と緑の祭典、千葉県、文化祭、他」があります。
寿、祝、志が基本となり、いろいろな文字を自由に巻くようになったのは石橋様に、手ほどきを指導して頂いたお陰です。改めて御礼申し上げる次第です。
※なぜか文字は非常に個性が出るもので、上手になるには経験が必要です。皆さんも、飽きずに数本巻いてみてください。考えてみれば、もっとも難しい技術ですから1度や2度で完璧というのは無理な「ハナシ」ですね。しっかり練習してみましょう。
※伝統郷土料理研究会の講師は、文字を完全にマスターできる者が指導者としての条件になっています。漢字、ひらがな、カタカナ、アルファベットの範囲で指導可能。